|
あたしたちが2日前から泊まってる宿のおっちゃん情報によると、昔からのお祭りがあるとかで、今日は朝から町中ごったがえしていた。 それにしても人が多い。 なんでもこの町のどこだかにある"神の水"には縁結びのご利益があって、祭りの夜にその水を想い人と同時に飲む事ができれば想いが叶う、と伝えられているという。 お昼をすぎると、町の人たちは屋台の準備やら、花火の準備やらで皆大忙し。 「な…何よ、アメリア」 「お話がありますっ!」 ずんずんずん。 「お願いしますっ!今日一日、私とゼルガディスさんを2人っきりにしてくださいっ!」 あーあ、真っ赤になっちゃって。 「…さすがにリナさんやガウリィさんがいると私だって恥ずかしいですっ(照)」 「わかったわ。じゃあ、午後からあたし達は別行動って事で。」 「助かりますぅ、リナさんっ。」 「かわりに、明日のご飯代は全部持ってもらうわよ。それぐらい、安いもんでしょ♪」 「うぅっ。はぁあい…(涙)」 かくして、午後からあたしとガウリィ、アメリアとゼルガディスというチーム(?)に分かれた。 夕方を過ぎるともう辺りはうす暗く、祭りの灯がちらちらと揺れてとっても綺麗。 「おーい、リナぁ。そろそろ行くぞぉ!俺…腹減ったぁ」 …はいはい。 まあいいか。ひさしぶりにガウリィと2人っきりでおでかけ。 あたしは、さっさと髪を結ってしまうと、ガウリィの後を追って駆け出した。 「うーん、これだからお祭りはやめられないのよねぇ〜♪」 夕食後のデザートに、あたしとガウリィは屋台の食べ物を全制覇した。 そして、あたしの興味はお遊び系にうつる。 「こっ、これはぁっ!」 半透明の体から数本伸びた、かわいらしい足。 「よっ、お嬢ちゃんお目が高い!最近じゃぁめったに採れない陸クラゲだよ」 うわぁあ〜! あ、陸クラゲっていうのはね、普通のクラゲと違って、空気中から水分を取り込んで生きていられるクラゲさんなの。人懐っこくて、ふわふわすいすい空中を泳ぐ。 「よっしゃ!買ったぁあ!」 高かったけど、かわい〜!あたしの肩の周りをふにょふにょ飛びまわる陸クラゲ。 「あ、そうだ。名前…(当然、ガウリィよねっ♪)」 「何にするんだ〜?リナ。」 「(あんたには)ヒミツよっ☆」 「ちぇっ。なんだよ〜」 うーむ…しかしこの子、ほんっと〜に、かぁいい。 (よしよし、ガウリィ。)ちゅっ。(かぁわいーい♪)ちゅっちゅっ。 こっちを見上げて、ふるふるふるふる。指でつつくとぷにょぷにょぷにょ。 「おなかいっぱいだし、ちょっとひと休みしよっ」 「おぅ、そうだな。」 お社の階段に座って休んでいると、目の前に3人のチンピラ風なやつら。 「あんた達何かあたしに用なわけ?」 「なぁ、あんたさっきペット屋で陸クラゲ買っただろ。それ、返して欲しいんだよなぁ」 「は?返すぅ?あんた達みたいなのから買った覚えはないわよっ」 「頭悪ぃなぁ。貴重な陸クラゲ、あんなトコであんな値段で売るわけねぇだろうが。 じゃあ何か? 「…返さない、って言ったらどうするわけ…?」 「返してもらうさ。あんただって痛い目見たくねぇだろ?」 笑う男の手に淡い光。こいつ、魔術の心得があるんだわ。 「すぐ終わるけど、あんたは危ないからさがってなさい」 あたしはクラゲのガウリィ(どうもややこしい)に言った。 よっ…と。とりあえず、火炎球! ありゃ?もう一人はどこいった? 「バカ、リナっ!後ろだ!」 遠くから聞こえるガウリィの声にあたしは振り向いた…けど、遅かった。 「…っ!」 その時何かが、あたしに体当たりしてきた。 でも、誰が?…ふと、足元を見る。 「ガ、ガウリィっっ!」 そこには足のほとんどと体の一部が溶けかかっている痛々しい陸クラゲの姿。 「そ、そうだっ、水よ!水があれば…ガウリィっ、水っ!」 陸クラゲも元々海にいるクラゲから進化したもの。体の殆どが水分でできているので、治癒の呪文と共にダメージに応じた水分が必要になるのだ。 「リナ、そいつが倒れてる脇の岩んとこ!水だ!」 ガウリィの指の先には、岩場の陰から湧く水らしきものと、その下には水溜り。 「ガウリィ、頑張って!死んじゃだめよ!」 あたしはクラゲのガウリィを水溜りの上に横たえると、その上に ぴくんっ。 頼りなくはあるけれど…治った…みたい。 「よかった、あんた…あたしを助けてくれたのね。ありがとう」 ふにょふにょ。 「うはぁ、なんだかどっと、疲れたわ…」 「俺もだ〜」 あたしとガウリィ(本物)は、どちらともなく岩場の湧き水に手を伸ばした。 「おっ、美味し〜!戦闘の後の一服はサイコーねっ!」 「俺は、腹の足しになればなんでもいい…」 ぴちょん。 |