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いつもと変わりない朝。
いつもとさほど変わりない。
だが、今朝は少々違った。
「くあぁぁ〜、気持ちいい」
ぐぃ、っと背伸びするリナ。
見ると、荷物袋が大きくなっている。
やっぱり行ったな。
何もなかったのにはホッ、としたが、スリーピングをかけてまで行く事はないだ
ろーが。
まぁ、ここまで言えば健全な人は分かると思うが……
オレにスリーピングをかけて、リナが盗賊いぢめに行ったのだ。
今回は不覚にも術にはまってしまった。
よって、盗賊いぢめに行ったリナを止めれなかったのだ。
リナは時々オレを気にしている。
多分、バレてないか探っているんだろう。
「なぁ……リナ……昨日よりも荷物袋が大きくなってないか?」
オレの一言で、リナはまともに動揺した。
本気で分かりやすい奴。
彼女は動揺を隠すようにいつも以上の高めの声で
「やぁねぇ、いっつもこれぐらいじゃないのよ」
「そーだけっか?」
まだ白状しないか。
オレは顎に手を当てながら。
「それに昨日――なんかよぉぉぉく眠れた気がするし」
またしても、リナは動揺した。
それもさっき以上にだ。
リナは汗をかきながら
「きっとすっごく疲れてたのよ、ガウリイ」
「ああそーかっ! 疲れてたのかオレ」
オレはその場のノリと付き合いで、手の平を叩く。
しぃぃん
しばしその場に沈黙が降りた。
これで騙せると思ったのか? こいつは
「リナ……お前……」
オレはリナの肩に手を置く。
「……あーもっ!」
いきなり声を上げてオレの方を振り返る。
「何よなんなのよっ! いっつもいっつも! あたしが何をしたって勝手でしょーがっ! そんなにあたしのやる事が気に食わないのなら……あたしについてこなければいいでしょっ!?」
再び沈黙が降りる。
オレもリナも黙ったまま。
こりゃ完璧に怒ってるな。
しばらくそっとしておくか。
オレはリナの横を通り過ぎ
「……ほら、行くぞ」
先に歩き出す。
やや遅れてリナがついてきた。
それから街まではお互い、黙ったままだった。
あれから五日が過ぎた。
リナとはまだ沈黙状態。
二日前に部屋を出た時、丁度リナと会ったがかける言葉が無くその場を立ち去っ
た。
なにやってるんだろぉな、オレ。
軽い散歩を終えて宿屋に戻ってくる。
階段を上りきる直前。
「ガウリイっ!」
リナ?
声のした方を見ると、リナが乱暴にオレの部屋を開けた。
誰もいない部屋を見て、リナは呆然とする。
「……ガウ……リイ?」
再びオレの名を呟く。
放心状態になったせいか、オレが近づいている事にも気がついていない。
どうしたんだ?
ぽん。
そんな疑問と一緒に、オレはリナの頭に手を乗せる。
「何やってるんだ? お前さん」
「――ガウリイ」
オレを見た瞬間
ばきぃっ!
いきなりのストレートパンチ。
そのまま壁に衝突する。
「なっ……」
オレが文句を言う前に、リナはこっちを見て
「もう――うんざりだわ」
そう言い放った。
「えっ?」
展開についてゆけず、オレは目を点にする。
そんなオレを無視して、リナは話を続ける。
「もううんざりだって言っているのよっ! ガウリイはずっと黙ったまんまだし、どこかに行っちゃうんじゃないかって……毎晩毎晩心配で……眠れなくって……でも、ガウリイは何考えてるか分からなかった! こんな辛い思いするのはもうたくさんよっ!」
はー、はー、はー。
リナは荒い息をつく。
心配、していたのか?
オレが出て行くって……
オレは呆気に取られた顔をしながら
「おい……オレは別に怒ってないし、第一怒っていたのはリナの方だろ?」
「……は?」
今度はリナが呆気に取られた。
いやぁな……
「だってよ、オレがリナに話し掛けなかったのは、リナが怒っているように見えたからで」
「じゃあさ、ついて来なきゃいいって言ったのは?」
「へっ……お前さん、そんな事言ったっけ?」
覚えてはいた。
だが、オレはわざとボケる。
がくぅ。
いきなり脱力するリナ。
やれやれ。
オレはいつものように頭をなでる。
「なーんか、二人して勘違いしてたみたいだなぁ」
いつものようにノホホンという。
リナはオレに顔を向けて
「ねぇガウリイ、本当に何とも思ってない?」
「えっ……ああ、気にするも何も」
「ホントのホントね?」
「本当だって」
「そう――なら良かった」
本当に嬉しそうに言うリナ。
よかった、一時はどうなると思った。
ふら
おっと!
倒れかけたリナを止める。
「リナ?」
「ごめん、ここ数日あんまし寝てなかったから……」
それだけ言って、リナは寝てしまった。
「おいおい、こんな所で寝たら風邪引くだろ?」
聞こえてないとは知りつつも、オレは言う。
リナを起さないように、そっと抱き上げ部屋まで連れてゆく。
部屋のドアを開けて、リナをベッドに寝かせる。
そして毛布をかけてやり
「心配すんなって。オレはどこにも行かないさ。行く気も無い、神に土下座されたってリナの側からは離れないよ」
〜fin〜
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